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以前は、リノール酸(必須脂肪酸でもあり、体内で合成できない不飽和脂肪酸の代表)などは不飽和脂肪酸の代表で、たくさんとることを推奨されていました。
しかし最近は、過剰な摂取により肝臓への取り込み障害がおこり動脈硬化を推進するのではないかということが示唆されれいます。(あくまで過剰な摂取の場合です。)
またパルミチン酸やステアリン酸は、一般的に食肉に多くあり、とりすぎはよくないといわれてきましたが、それほどコレステロール上昇作用はないのではないかという結果もでてきています。
また近年、トランス脂肪酸がちょっとした話題になっていました。
心臓血管系のリスクを高める、細胞膜を不安定にするために免疫系の能力を低下させたり、体内の酸化をすすめ発ガン率を上昇させる、痴呆の率を上昇させる、といった報告がされるようになりました。、
このトランスというのは、分子構造の違いでつけられているものですが、マーガリンに含まれているトランス脂肪酸がコレステロールを上げるということがつい最近示唆されるようになりました。
ただしこの内容は、マーガリンなども含めて日本人より摂取量が多いアメリカなどで大きな問題になっていることであり、日本人の平均的摂取量であればそれほど大きな影響はないのではないかともいわれています。(日本人の摂取量はおおよそアメリカ人の4分の1程度の摂取量といわれています。)
また、以前はイカやえび、たこ、魚卵などもコレステロールをげるのではないかという説でしたが、今は特に上昇するわけではないといわれるようになりました。
医学の発達により、それまでの常識が突然変化する昨今ではありますが、あくまで過剰反応をしすぎずに基本的な感覚を維持する(動物性脂肪を必要量以上はとりすぎない、神経質になり過ぎない、適度で健康的な運動を心がける)のもまた、ある程度必要な現代人における生活態度なのかもしれません。

高脂血症を防ぐには(日常生活での心得)

コレステロールは8割がたは体内で合成されます。
いいかえれば、血液検査ででたデータの80%は体内で合成されたもので、(厳密にいえばもちろん誤差はありますが)食事に含まれるコレステロールそのものが吸収されたものは2割程度に過ぎないのです。
なので効果的に血液中のコレステロールを下げるためには、効果的な食事をするほうがより効率がよいのです。言い換えれば、食べた食品そのもののコレステロールなどよりも、肝臓などで作られるコレステロールの原料となりやすいものの摂取に気をつければよいのです。
ここで重要になるのが、飽和脂肪酸不飽和脂肪酸という感覚です。
不飽和脂肪酸 一般的に、コレステロールを下げる働きがあるといわれています。冷蔵庫にいれても液体のままで存在する油などが多いです。
飽和脂肪酸 コレステロールを上げる作用があるといわれています。平たくいえば、冷蔵庫などで白く固まる食品に多いものです。

食事は毎日の習慣であり、またもちろん必要不可欠なものです。また、医学は他の分野と同様日進月歩を示しています。
現代に生きるわたしたちにとって、日本人古来の食生活がたかだかこの数十年で大きく変化したことに関しては否めないものはありますが、安易な自己判断だけに頼りすぎず、いろんな情報が公開されていることに感謝しつつ、かといって過剰反応を示しすぎず、自己の健康維持のために日ごろのちょっとした、しかもそれなりの持続性のある心がけをすることがとても大切なことではないかと考えます。